Destiny ~Catastrophe or Ribirth ~ 4

Novel/
  1. Home
  2. Novel
  3. Destiny ~Catastrophe or Ribirth ~ 4

 4日間で四大元素の魔術の基本をマスターし、そして4日目にして炎系魔術の上級術『ダークフレイム』を発生させられることが出来た私は、これまでの講義と合わせて行使できる術が以前とは比べ物にならないくらいに増えていた。

今までは巫女として必要な治療術と占術のみだったのだけど、現在では8種の攻撃魔術・5種の治療術を習得するまでに至ったのだ。
魔術書には更に幾種類もの術が記載されているので、職務の前の講義時間に教わるのだろうと私はそう考えていたのだけど。

講義を受け始めてから2週間。「初心忘るべからず」というカオス様の理念の下、四大元素以外の術にはまだ触れず、私は基礎をみっちりと学んでいた。

  第四章 旅立ちの時

そんなある日のこと。

「・・・ふむ。リリアは数ある魔術の中、既に13種の術を会得したか・・・」
カオスは神殿最奥部でポツリと呟いた。
「なかなかの上達ぶりではないか?」
そうは思わぬか?と、彼は傍らに跪く己の使い魔に意見を求め問いかける。
「はい。こうも習得が早いとは私も考えておりませんでした。
やはり、彼女は間違いなく・・・」
頭を垂れたまま、サラマンダは主の問いに答える。それを聞いたカオスはしばし思案した後
「・・・世界の命運が近い、か・・・」
これからリリアに起こりうる試練を思い、目をゆっくりと閉じた。
「・・・我が元から旅立つときは近いな」
「・・・カオス様・・・」
リリアの旅立ちの時を感じカオスは一抹の寂しさをもらすと、サラマンダは面を上げ主君を見やった。
神と魔の両極性を持つ者が寂しさを感じるのは意外かもしれない。
だが、リリアとカオスは、彼女が神殿に巫女としてやってきて以来毎日顔を合わせ会話し、時には兄妹のように過ごしてきたのである。
寂しさを感じるなという方が無理であろう。
己の主の心情を慮り、サラマンダは一礼をしその場を後にした。

カオスが少々メランコリックになっていたその時。
ルキアは、いつ、リリアを神殿から連れ出そうかと自室で思案していた。
すぐにでも生活できるように匿う先の確保は出来ている。だが、懸念材料がある。
リリアは一族の神殿に仕える巫女である。そこから連れ出し、人界に匿い人として暮らさせるにしても、当然、彼女を連れ戻そうと追手がかかるかもしれない。
なんとかそれだけは避けなければならない。そのため、この事は誰にも悟られず、かつ、首尾よく手筈を整えなければならないのだ。
「さて。どうしたものか・・・」
ここ最近、リリアは巫女としての職務以外にも何やらカオス様の元で用事があるようで、神殿に拝謁した時ぐらいしか会えないのが現状だ。
「うーん・・・。なかなか妙案が浮かばないな。まだ実行するときではないのか・・・?」
彼は眉根を寄せ、頭に手を当てると髪をクシャっと掻き深くため息を漏らした。

「・・・気晴らしに、散歩にでも出るか」
そう言うとルキアは自室を後にし、物憂げな表情のまま、心の赴くままに足を運んでいく。

どれだけ歩いたのだろうか。
気が付けば遺跡の中でも最奥の場所にルキアは辿り着いていた。
そこは居住区からは遠く離れており、遠くには荒野が望める場所。
辺りには、崩れかけている城壁があったり所々にレンガが落ちている。誰かが修復作業中なのか?などと考えながら周囲を眺めながら歩いていると・・・

ドンッ!

「うわっ?!」
「ひゃっ!?」
何かにぶつかりその拍子にルキアはその場に腰を付いた。
そしてその何かが彼の上に倒れ込む。
「あいった~・・・」
転んでしまい状況が把握できないのか、そのナニカはぶつけたところを軽くさすっている。それは・・・
「・・・あれ?リリア?」
自分の上に覆いかぶさっている人物は、先ほどまで彼を悩ませていた張本人だったのである。
「へ?あれ、ルキア?」
遺跡のはずれで会うとは思いもよらず、お互いに目を丸くした。
まるで、「ここで何をしてるの?」と言わんばかりに。

状況がよく分からぬまましばしそのままの状態でいたが、ルキアは漸く事態を把握するとほんのりと顔を赤らめた。
突然のこととはいえ、リリアと密着した状態なのである。
「ご、ごめん!よそ見していたからぶつかっちゃったみたいだ。怪我、無い?」
自身の動揺を悟られないように、ルキアは優しく彼女を立ち上がらせた。
「ううん、私の方こそごめん。私もよそ見していたし・・・。怪我は無いよ」
服についた埃をぽんぽんと払うと私はニッコリと笑顔を見せた。
「そう?良かった。・・・それにしても、こんな場所で会うなんて奇遇だね?」
ルキアも土埃を払うと辺りを見回す。
「そうだね。ここ、あまり人が来ないから私もビックリしちゃった」
それもそうだ、私は普段、神殿からあまり出ない暮らしをしている。ルキアが不思議に思うのも無理ないだろう。
「最近は巫女の仕事でここにも来るのかい?」
「うん、そんなところ。ルキアは?」
「俺は・・・ちょっとね。散歩していたらいつの間にかここに来ていた」
「ふーん?」
そう言う彼の表情はどことなく暗い。何か悩み事でもあるのだろうか?でも、彼の性格上、今尋ねても答えてはくれないだろう。
「・・・そろそろ帰ろっか?」
私はそう言うとルキアの前に手を差し出す。
「手、繋いで帰ろう?」
ほら、と手を軽く上下に揺らしルキアを促す。
「・・・?リリア?」
「たまにはいいでしょ?」
どうしていいか分からないといったような顔でこちらを見るルキアにニコッと笑みを見せ、私は、ほらほらっと手を握り。
「・・・子供の頃以来だね」
そう言って彼はきゅっとその手を握り返した。

子供の頃以来。その言葉に私は少し懐かしさを覚えた。
なにせ、神殿で暮らすようになって以降…占術などなど、巫女としての日々を目まぐるしく過ごしていたのだ。
占いでは精神力と集中力を大量に消耗する。
視る項目が多い日は、疲れてへとへとになる程だ。気分転換に外出もままならない。
・・・まあ、本来であれば神殿の外にはあまり出れないのだけれどもね。

「・・・懐かしいね。家に帰るとき、時々手をつないで歩いたよね」

 

 

オンライン初出2013年1月18日2021年12月4日現在執筆中